【コラム】「ハーフ」の呼び方って?日本育ちの当事者が考える

ハーフの話

日本人と外国人の間に生まれた子供、なんて呼んでいますか?

ハーフ?ミックス?ダブル?混血?

私(80年代後半生まれ)と近い世代の人は「ハーフ」一択時代が長かったですよね。

ハーフタレントが増えてハーフの存在が身近になって行くのと同時に、「ハーフ」って呼び方はどうなの?っていう運動もじわじわ広がっていきます。

そこからもう20年前後、未だきっちり定まっていない「混血の人の呼び方問題」。

結論から言うと私は「ハーフ」が一番落ち着きます。が、それぞれいろいろな考え方から出てきた言葉たち。

ちょうど「ハーフ以外の言い方」が広がりだした頃にハーフとしてのアイデンティティをバチバチに意識していた世代の私が、当事者として感じるそれぞれの呼び方の印象について書いてみたいと思います!

ちなみにこれからいろいろ書くけれど、実際に会った人にどう呼ばれようと、呼び方だけで「この人と付き合うのやめよう…」とはならないので、気構えなくて大丈夫ですよ!

昔はハーフ以外の呼び方が苦手だったこともあります。でも今はもうなんでもいいやって思ってます。大事なのは言葉じゃなく、伝わってくる気持ち。

そこに愛があるのか、侮蔑のニュアンスがあるのか。人間ってそこで判断していると思うんです。

私がなぜ「ハーフ」を使い続けるのか、他3つの主要な呼び方についての印象を交えて書いていきたいと思います!

※この記事は、あくまでもイチハーフである私の主観です!
ひとくくりにハーフと言っても、本当にいろいろな人がいます。
「こんな風に考える人もいるんだな~」くらいにライトに読んでいただけると幸いです

「混血」は面と向かって言われると警戒する

まずは「ハーフ」という言葉が生まれる以前に使われていた、「混血」。

これは本来事実を述べただけで全く差別的な言葉ではなかったはず。

ただ、戦後ハーフが増えたことで差別的な意味合いが含まれることが多くなったんだと思います。

そんな背景もあるし、そもそも私たちの世代はハーフが普通過ぎて、わざわざ「混血」という人は侮蔑的な意味を込めたいか、カタカナ語を極力使わないようにするちょっと特殊な人が多い印象です。

自然と身構えますね!

ちなみに、学術的な研究・文章や、当事者が使う場合などはまったく気になりません。

警戒するのはあくまで、混血ではない人に直接言われた時のみ。

ミックスは犬猫っぽい。

混血の代わりに市民権を得た「ハーフ」にもネガティブな響きがある!と、「ミックス」や「ダブル」という新な言葉がじわりじわりと浸透していきます。

これらの言葉自体は1990年代あたりに出てきたそう。※1

私が聞いたのは高校生だったか高校卒業後だったか、とりあえず2000年代でしたね。

初めて聞いた時の印象は、「犬猫かな?」でした。

当事者発信の言葉みたいですが、私は動物扱いされたようで…ちょっとというか、かなり拒否感を覚えた記憶があります。

犬猫で「ミックス」って言うと要は「雑種」。

雑種好きさんもいるし、雑種の方が可愛いなんて言われたりもするけど、雑種って言葉にはやっぱり残念な響きがあると感じるんですよね。

(ちなみに私が今まで飼ってきた3匹の猫たちはみんな雑種です!)

「ミックス」を好んで使っていた当事者たちも知っているので、感じ方は人によります。

特別「ハーフ」が半分だから差別!とか思っていなくても、「私いろいろ混ざってて厳密には半分じゃないんだけど…」と呼び方に悩んでいた人たちには画期的な言葉だったんだと思いますし。

「ハーフの子供はクォーター、じゃぁクォーターの子供は?ハーフ同士の子供は何になるの?」なんて質問がネットにあふれていた時代でもあります。

なんか混ざってる、=ミックスは日本人にとって分かりやすくはありますよね。

(元はmixed-raceからだとは思いますが、ミックスで止めちゃうとって話です。)

今は聞いても前ほどの拒否感はありませんが、でもやっぱりミックスはあえて使いたい単語ではないかなぁ。

どうせなら「multiracial」、「マルチレイシャル」、日本風に省略して「マルチレイ」なんてどうでしょか。

multi-ray、あちこちに光線だしてるイメージでかっこいいし、パッと聞きよく分からないのもポイント高いですね!(ハイパーメディアクリエイターみたいな)

(最初「マルチ」って略そうと思ったけど、マルチ商法のイメージあるなと諦めました。)

ダブルではない人も多い

じゃぁ「ダブル」はどうなのよ?ポジティブ感マックスアゲアゲでしょ!

「ダブル」は、初めて聞いた時わざとらしすぎて小恥ずかしいというか、「別にハーフでいいのに…」って思った記憶があります。

日本人が言う分にはまぁ気を遣ってくれているんだなと思って気にしないけど、ハーフが使ってるのを聞くと「ちょっとこじらせてるかな?」と思う気がします。(突然の辛口)

世代的なものもあるのかな?若いハーフたちは使ってるんでしょうか。

完全なる私的統計では、ハーフの子を持つ母親に「ダブル」を好んで使う人が多い印象です。

同世代のハーフの当事者でダブルって言ってる人いたかなぁ…1人2人はいたかもしれないけどハーフ同士でこのあたりの単語を使う機会ってあまりないし、記憶にありません。

個人的には、半分半分ならハーフでいいじゃない、って思ってます。

人間の血の総量を1として、0.5+0.5=1だからハーフであって、ダブルって言ってしまうと1+1=2みたいな変なことになる気がしてむずがゆく…!

とはいえ「ハーフ」「ダブル」は血と文化、どちらに重きを置いているかにもよるのかも。

私みたいに血で考える人はハーフが自然だと思うだろうし、ハーフの「半分」が嫌で、「私たちは祖国も2つあるし文化も2つ経験してる!」という考え方の人は「ダブル」がしっくりくるのかもしれないですね。

そう考えるとどちらも間違ってないし、別に好きな方で呼べばいいんだと思います。

ちなみに私はずっと日本人の母と暮らし、高校までは日本の学校を卒業、成人して渡米するまで英語も大して話せず、日本文化にどっぷり浸かっていたので…文化的に考えるとまったくダブルじゃありません。

ハーフタレントが急激に増えた当時、日本育ちハーフの間で自虐として流行った「残念ハーフ」の一人ですね。
(ウエンツ瑛士さん、英語話せないキャラを知らしめてくれたあなたに、当時どれくらいの残念ハーフ達が感謝したでしょう。ありがとうありがとう!

こんな人も結構いるので、「ダブル」は少し注意の必要な呼び方かもしれません。

結局呼び方よりも気持ち

3つの呼び方について好き勝手書きましたが…一つ声を大にして言いたいのは、ハーフにとってつらいのは、ハーフであるという事実よりも、どちらの国に行っても「外国人」呼ばわりされること

ハーフと呼ばれることにトラウマを持っているハーフにはまだ会ったことはないけれど、「やーい外人!」って言われたり、仲良いと思っていた人にふと外国人扱いされたり、そういうことに地味に傷ついてきたハーフは私含め結構知っています。

ハーフだろうがミックスだろうがダブルだろうが、そこに「日本人」を認めてもらえていれば別に気にしないんですね、少なくとも私は。

ハーフなんて気にしない、人種なんて聞かれないような世の中になるといいなぁとは思うけど…。

現実問題見た目が違うと気になってしまうのは日本という国の特性上仕方がないし、完全に日本人扱いしろ!というのも難しいのもわかります。

この記事を読んでいる人が、「どうやって呼べば相手を不快にさせないのかな?」と考えてくれていること自体がもう愛だと感じるし、そんな人になら何て呼ばれたってOKです!

心配なら相手に聞いちゃってもいいと思いますよ。

「ハーフ?ダブル?なんて言えばいいんだろ?」とか言えば「ハーフでもなんでもいいよー!」「私はダブルがいいなー」「ミックスで!」「マルチレイでお願いします」なんて気軽に返ってくるはず。

私はこれからも自分のことは「ハーフですー」って言うと思います。

他にしっくりくる言葉が出てきて、市民権を得るまでは。


※1 「ハーフ」「ミックス」「Hafu」? 日常に隠れる「日本人同士の差別」に気付けるか


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