国際結婚と切っても切れない関係なのが二重国籍(多重国籍)ですが、蓮舫さんや大阪なおみさんのニュースで存在は知っていても、実はしっかり理解している人ってあまりいないかと思います(体感)。
この記事では、
国際結婚して子供が二重国籍になるけれど…そもそもよくわからない
友達が二重国籍らしいけど、二重国籍って何なの?違法じゃないの?
二重国籍者は国籍の選択が必要って聞いたんだけど、片方だけを選ばないといけないの?
なんてお悩みの方向けに、とっつきにくい国籍のお話をとにかくかみ砕いて、絶対に知っておくべきな部分だけをまとめました!
日本が表向き認めていないのもありまだまだマイナスなイメージを持っている方が多く、とにかく「違法ではない」成人重国籍者もいるということは広まって欲しい…と常々思っています!
Q: 重国籍(二重国籍)とは?
A: 二つ以上の国籍を持っていること。
まずはしっかり定義を確認しましょう。
多重国籍(たじゅうこくせき)は、二つ以上の国籍を持っている状態のこと。重国籍とも言い、二つならば二重国籍。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シンプルですね!
言い方がいろいろあるのがちょっと紛らわしいのですが、二重国籍なら2か国、三重国籍なら3か国…と続いていきます。
- 多重国籍
- 重国籍
- 複数国籍
はどれも同じ意味になりますが、日本政府が使うのは「重国籍」をよく見ます。
人口的に一番多いのが二重国籍で、よく話題になるのもこの言葉なのでこのサイトでもタイトルなどによく入れていますが、私自身は「重国籍」という言葉がシンプルかつ国数を指定しないので好きです!
Q: 重国籍(二重国籍)は違法なの?
A: 本当に「重国籍」の状態なら違法ではありませんが、「なんちゃって重国籍」は違法です。
え、なんちゃって重国籍?どういうこと?
上で確認した通り、重国籍は「二つ以上の国籍を持っていること」です。
下で詳しく説明しますが、日本人が重国籍になるのは基本的に「出生による(生まれた場所や親の国籍など)」場合。
それ以外、つまり自分から他国籍を取得した場合は、手続きのありなしにかかわらずその時点で日本国籍を失うんです。
日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
国籍法 第十一条
私が「なんちゃって重国籍」と呼んでいるのはこうして日本国籍を失っていながら、届け出をせずそのまま日本のパスポートを維持したまま暮らしている人たちです。
他国で国籍を取得しても日本に連絡がいくわけではないので、意外と気づかれずにパスポートなどを維持できてしまうケースが多いみたいですが、立派な違法行為です!
軽い気持ちで違法重国籍(重国籍ではないですが)状態にならないように気を付けてくださいね。
また状況が変わっても、手続きを踏めばちゃんと日本国籍の再取得ができます。きちんと国籍喪失手続きをしておきましょう!
ちなみに、無自覚で違法重国籍者になっているケースも…
本当にあった恐ろしい話…
ハーフだし♪と安心していたら、実は自分が違法に日本人として暮らしていた…!ということがたまにあります。
日本以外は「重国籍OKですよ!」という国が多いのもあり、ハーフ=重国籍!というイメージでそのまま使い続ける人が多いのですが、実は国籍取得が自動ではなく、オプションである国もちょこちょこあります。
アメリカなどは
あ、ここで生まれた?あ、両親どちらかがアメリカ人?
オッケーオッケー君もアメリカ人!はい国籍!(ぐいぐい)
と押し付けてきますが、「国籍?あぁ、欲しいならあげるよ、申請してね」というクールなスタンスの国相手に「私の子供なんだから当然○○人!」と親がパスポート申請をしてしまうとその時点で日本国籍アウトです…。
私の周りのハーフでも親が子供の頃に国籍取得手続きをしていて、実は日本国籍を喪失していた…と大人になってから発覚、パスポートを取り上げられた/慌てて国籍を取り直したケースをいくつか知っています。
これはショック…
国際結婚カップルは、子供の国籍についてしっかり調べてあげてくださいね!
どうやって重国籍(二重国籍)になるの?
Q: 他国から国籍を自動的に与えられた場合
日本で正式に重国籍状態になるのは、このケースのみです!
「自動的」ってどんな状況が当てはまるの?
①出生によるもの ②結婚によるもの ③養子縁組などによるもの があるよ
上で「自己の志望によって」他国籍を取得すると自動的に日本国籍を喪失する法律を紹介しましたが、逆に言うと自分で「国籍くださーい!」って申請した場合以外は、他国籍を持つことになっても日本国籍はなくなりません!
出生によるもの
生まれた場所や両親の国籍によって、他国から自動的に国籍を与えられるケースです。
国際結婚カップルの子供(ハーフ、ミックス)の多くはこのパターンで、成人して国籍選択するまではそのままでOKとされています。
日本人カップルの子供でもアメリカやカナダなど出生地主義の国で生まれるとこのケースに当てはまります。
国際結婚によるもの
国によってはその国の男性と結婚すると他国籍の女性に国籍が与えられるところもあって(中東やアフリカの一部)、その場合も自己の志望によらない他国籍取得になります。
養子縁組によるもの
あとはレアケースですが、養子縁組で養父母の国籍をもらうケースもあります。(養父母が日米の二重国籍だったり。)
これも自己の志望によるものではないですよね。
ただし、これらすべて成人してからは一定期間中に「国籍選択」のアクションが必要で、それをしないと日本国籍を失うこともあるので注意です!
国籍選択後は重国籍じゃなくなる人とそのまま維持状態になる人がいますが、それはまた次でお話しますね。
重国籍者(二重国籍者)は、国籍の選択が必要って聞いたんだけど…
A: その通り!期限は成人してから2年、もしくは重国籍になってから2年です。それまでにきちんと手続きをしましょう。
ただし、国籍の選択=重国籍の解消ではないケースもあるのがポイントです!
日本国籍を維持する場合
多分日本で育っている重国籍者で一番多い選択かと思います。この場合、方法は2つ。
1. 「国籍選択届」を提出
これを出すと「私は日本国籍を選びます!」という宣言になります。
「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄します」って書いてあるんだけど、これ出したらもう外国籍はなくなるの?!
強調して書いてあるし不安になるよね。でも日本側が勝手に外国籍をはく奪することは出来ないので、心配しなくて大丈夫よ!
周りの重国籍者はこれを出している人が多く、一番簡単でおすすめです。
「他国で国籍選択したらうちの国籍は失いますよ」と宣言している国じゃなければ、この届を出すことでそのまま重国籍者の身分が確定します。
というのも、他国の国籍を離脱するように働きかけるのは、内政干渉になるため国際問題に発展しかねないので強制力がないんです。
国籍法でも、
1 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。
国籍法 第十六条
と、あくまでも「努力義務」として書かれています。
アメリカなど押し付け気味に国籍を渡してくるところは、離脱するのもなかなか大変ですし、お金もかかります。
日本国籍を選ぶという宣言を出したことで、とりあえず義理は果たしたとみなされ、それ以上のアクションは要求されなくなります。
2.「外国国籍喪失届」を提出
もう一つは、「私の他国籍なくなりましたー!」とお知らせする方法です。
他の国籍を持たなくなったので、重国籍解消したよ、ってことですね。
こちらは私にはあまりなじみがないのですが、国際結婚で重国籍になった人が離婚した時などでしょうか?
外国籍を選択する場合
こちらも方法は2つ。
1.「国籍喪失届」を提出
「日本国籍失いました!」という申告です。
これは国籍選択の期限まで…というより、相手国側の手続きをした時点で出さないといけない書類ですね。
そうしないと上で書いたように、違法重国籍状態になってしまいます!
2. 「国籍離脱届」を提出
「日本国籍もういりません!」の手続きです。
これは重国籍状態の人が、日本国籍はいらないかなぁ…となった時に使います。
「国籍選択届」にすれば重国籍キープできるのに、離脱したい人もいるの?
結構いるよ!よく聞くのが「JET」プログラム(※)を使用したい人。
応募要件に「日本国籍を有する者は参加同意書提出期日までに日本国籍を離脱する届け出を行うことに留意すること」とはっきり書いてあったよ。
あとは特に日本とかかわりがなくて必要性を感じない、煩わしいと感じる人も。
そっか、国籍を持つということは義務も発生するしね。
※JETプログラム … The Japan Exchange and Teaching Programmeの略で、小中学校や高校の英語の授業に協力してくれる外国人を集うプログラムです。
手続きしないと、日本国籍を失う場合もあります!
上に書いたように2年の期限がある国籍選択ですが、催促されるかどうかは人によって違います。
家に手紙が来た人もいれば、公的な手続きのついでに口頭で確認される人も。
パスポート更新に行くと高確率で国籍の確認をされます。マニュアルがあるのかな…
日本政府側も「気づいたら催促する」くらいのスタンスで悪質なケースを除きあまり力は入れていない、というかそこまでリソースを裂ききれないのかなと思います。
そもそも国籍選択が必要だと知らない人も多いので、期限までに選択しなかったからといって即日本国籍を失う!というようなことはありません。
が!
注意が必要なのは、公式に催促された場合です。
1 法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。
…
3 前二項の規定による催告を受けた者は、催告を受けた日から一月以内に日本の国籍の選択をしなければ、その期間が経過した時に日本の国籍を失う。ただし、その者が天災その他その責めに帰することができない事由によつてその期間内に日本の国籍の選択をすることができない場合において、その選択をすることができるに至つた時から二週間以内にこれをしたときは、この限りでない。
国籍法 第十五条
つまり、書面で「国籍選択しなさい!」と催促されたものを無視すると、1か月で日本国籍を失ってしまいます!ひえー!
とはいえ、この記事執筆時点ではこの催促で日本国籍をはく奪された人はいないようです。
とはいえ日本国籍を失いたくない気持ちが強いなら、のちのち問題にならないためにも早めに出してすっきりしてしまった方が安心かと思います。
おわりに
今回は重国籍って何なの!?どうしたらいいの?!という方向けに、
- 重国籍の定義
- なんちゃって重国籍(違法です)
- 重国籍になるケース
- 国籍選択の必要性
など「とりあえず知っておいて欲しいな!」という部分をなるべく難しくないようにまとめてみました。
少しでも疑問解消のお手伝いや、重国籍への理解のとっかかりが出来ていたらうれしいです!
これを読んで気になった部分は、また個別に調べて理解を深めてくださいね!
質問も大歓迎です。
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